この記事の要約
うんちの量が幸福感を高めるのです。うんちの量は食物繊維の量と関わりがあります。食物繊維が豊富に取り込まれると元気な腸内細菌が生息します。腸内細菌がいなければ、セロトニンやドーパミンの分泌がうまく行われません。結果、精神状態に悪影響を与えます。
1. 無菌な生き方
無菌マウスが長生きするという研究結果が発表されたことがありました。それを真に受けた学者が、人間も腸内細菌がいない方が長生きすると述べたのです。情報の氾濫は恐ろしいものです。ウサギに卵を食べさせて、コレステロールが体に悪いと発表されたことを思い出しました。
考えても見れば、草食のウサギに食べさせることが間違っているのです。
地球上に住む生物は、過去から今日まで、無菌状態でこの地球に存在していたことがありません。無菌状態で生きていては、免疫力が育ちません。無菌マウスを、人々が住む都会でも田舎でも通常の環境に連れてきたら、感染症にかかって死んでしまうことが考えられます。
腸には、腸内細菌がいるので、人は健康に保たれています。しかしながら無菌のマウスの場合は、幸福感から程遠い性格になることが証明されています。
2. 無菌状態はキレやすい
スエーデンのカロリンスカ研究所とシンガポールのジェノーム研究所の研究チームは、通常の腸内細菌を持つマウスと腸内細菌を持たないマウスを用意し、それぞれの成長を観察した実験結果があります。
結果は腸内細菌を持たないマウスは成長後、攻撃的になり、危険を伴う行動をするようになったとのことです。腸内細菌を持たない人間では、キレやすい性格になります。これに対し腸内細菌を持つマウスは、何の問題もなく通常の成長過程を示したとのことです。
それぞれのマウスの脳も調べた結果、無菌マウスは、セロトニンやドーパミンが少ないことが判明しました。
腸内細菌がいなければ、セロトニンやドーパミンの分泌がうまく行われません。その結果、精神状態に悪影響を与えることがこの研究で示されたとのことです。
3. 豚と乳酸菌の実験
藤田先生の友人である中国科学院のジンフェン教授は、豚に乳酸菌を飲ませる研究をしているとのことです。豚に乳酸菌を与えると多くの病気が治り、肉質も良くなりました。何より目立ったのは、豚が大変大人しく穏やかになったそうです。
ジンフェン教授によりますと、乳酸菌が、幸せ物質であるセロトニンやドーパミンという脳内伝達物質の前駆体を脳内に送ったためだと言うのです。
幸せ物質を増やし幸せの感受性を高めるには、第一に腸内細菌を増やし、腸内フローラを整えることだそうです。そのためには、善玉菌を食事とともに摂りこむことであり、腸内細菌の餌になる食物繊維やオリゴ糖などを豊富に含む食物製食品を多く食べることにあるそうです。
トリプトファンやフェニルアラニンの合成に必要なタンパク質の摂取は、順位的にはその次になります。
4. 毎日立派なうんちを出す
もう一つ大事なことは、毎日立派なうんちを出せるように心がけることだと言うのです。
体からの大きな便りと書いて「大便」と呼ばれています。大便の大きさと状態が、その人の生命力の強さを表しています。
藤田先生は、世界各国のうんち集めの長い旅を長いこと続けています。うんちの半分を占める腸内細菌の量と種類が人の免疫力と幸福感に作用しているのかを調査するためだそうです。
海外へで出かけた時うんちを手荷物にして、大事そうに運んでいると税関で度々止められます。(笑い)
その度に、「もし必要ならば、差し上げます」と言うと、渋面で「いらない」と断られます。(笑い)世界各国の人のうんちを見てきましたが、最も立派だったのは、メキシコ人だそうです。
メキシコは食物繊維の摂取量が多い国です。一人当たり1日に、93.6グラム摂っています。これに対し、日本人はわずか31.9グラム、メキシコ人の3分の1しかないそうです。となれば、メキシコ料理なるものを積極的に摂るのもいいのかもしれませんね。メキシコの豆料理は、日本のように甘くはないのでたくさん食べられそうです。
食物摂取量の多さは、そのままうんちの大きさに結びつくそうです。食物繊維が腸内細菌の餌となり、うんちの原料ともなるからです。
5. うんちの量とうつ病の関係
大変興味深いことに、この食物繊維の量であることがわかります。うんちの量の多いメキシコ人は、世界一自殺率が低い国です。
一方、うんちの量が3分の1しかない日本の自殺率は、世界トップクラスにあります。日本でうんちの量が少なくなったのは、1960年代です。食物繊維の摂取量が、工業化された食品が多く出回るようになったためです。1990年代になるとさらに加速されて行きました。
うんちの量が激減した1990年代になると、うつ病患者が急増し始めているのです。うんちの量が少ないとうつ病患者が増えると言うことが関連して言う量です。
うんちが大きいということは、腸内細菌の量が多く幸せ物質の分泌量も多いのです。そのため、幸せの感受性が高いことを表しています。
うんちが小さいということは、腸内細菌の量が少なく、幸せ物質の分泌量が少ないため幸せの感受性が低いことになります。幸せな人ほどうんちの量が多いと言うことになります。
腸内細菌の量と腸内フローラで幸せの感受性は決まります。幸福感を高めるには、腸内細菌が元気になる生活をすることにあります。
まとめ
地球上に住む生物は、過去から今日まで、無菌状態でこの地球に存在していたことがない
幸せ物質を増やし幸せの感受性を高めるには、第一に腸内細菌を増やし、腸内フローラを整えること
うんちの量が激減した1990年代になると、うつ病患者が急増し始めている
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