この記事の要約
病名にこだわるのではなく症状を改善することに一番注目しながら治療を続けていく事が大事です。多くの人は病名を求めたがります。治療方法がない状態で診断したら、不安だけが残ります。気配りする先生ほど診断を言わないようにしています。
病名はなくてもいい
多くの人は、潜在的に、病名が与えられるのが好きなようです。人は、病名を求めたがりますが、医師の立場からみると、病名を言われないのは良いことなのだそうです。
ところが、ある患者さんは、心療内科に1年ほど通院していますが病名を言われません。病名はなくてもいいのです。
新型コロナウイルスのPCR検査をするのと同じなのです。診断されるのが大好きです。しかしながら、診断しても何の解決にもなりません。治療法がしっかりと確立しているものについては、診断したほうがいいのです。
だから心筋梗塞や脳梗塞のようなものであれば、絶対診断が必要です。今流行の新型コロナウィルスで、「陽性です」と言われても、対処療法しかありません。
最悪であれば、人工呼吸器につないで、その人の回復をただ待つだけになります。治療がありません。
あるとしたら、アビガンだと思います。
治療方法がない状態で診断したら、不安だけが残ります。
コロナウィルスの検査をして、結果が陽性だとします。「あー陽性に なってしまった」と言って落ち込みます。陰性だとしても、その瞬間に「陰性だ!またコロナウイルスにかかるのかな」と不安を抱えてしまいます。
あるいは本当は、コロナにかかってるのに陰性として出ているかもしれない。不安を取り除くことは永久にないのです。
その理由で、それほど診断にこだわらなくてもいいのです。症状にこだわるべきです。症状は、呼吸困難になり、息も出来ないくらい苦しくて、死ぬかもしれない状態です。
ほとんど何の症状もなく、ちょっと熱っぽい、咳が少し出るくらいの時があります。これは、普通の風邪かもしれませんが、コロナかもしれないので検査しに行きます。そのような人がたくさんいますが、症状はそれほどではありません。
病名ではなく症状を改善する
症状を改善していく事が非常に重要です。例えば、精神科の診断の場合は、状態診断です。最終的な診断はすぐにはでません。
およそのイメージはできていますが、後で違うこともよくあります。例えば抗うつ薬が効いたりすると、うつ病ということにもなりますし、双極性障害の薬が利いたら、双極性障害という結果にもなります。
初診の時に、診断名を仮設で立てますが、それが正しいかどうかは、その病気が治った時です。うつ病の患者として仮説を立てて抗うつ薬で治れば、診断が正しかったのです。
初診の時に、例えばうつ病の患者に鬱の薬を処方しても全然治りません。そのうち、躁状態になってきて、双極性障害だったことに気がつき、双極性障害の薬を処方したら治るようなケースです。
この方の場合は、1年も通院しているのに診断名を言われないのです。診断を言われないのは何故でしょうか。3ヶ月も通院したのに病名を言われないのはおかしいのではないかと疑ってしまいます。
ところが、何もおかしくありません。精神科では、それが当たり前です。病名を言っても、余計不安を与えるだけです。
慎重な先生ほど、患者の気持ちを慮ります。患者の気持ちを落ち込まさせないようにするためです。あんまり驚かせないように、気配りする先生ほど診断を言わないようにしているらしいのです。
言うのは簡単ですが、その診断が正しいかどうかは、まだ仮説の段階なので分からないのです。
精神科のドクターは、イメージを持ちながら治療しています。患者の症状とともに診断面も変わる場合もあります。初めて通院した時よりも、症状がよくなっていることが重要なのです。
あまり気にしないで、自分の症状がよくなることに一番注目しながら治療を続けていく事が大事だとのことです。
参考文献:ユーチューブ:「病名を言われない」のは良いことです【精神科医・樺沢紫苑氏】
まとめ
医師の立場からみると、病名を言われないのは良いこと
自分の症状がよくなることに一番注目しながら治療を続けていく事が大事